先日所沢の中心市街地で開催されたとことこタワーまつりにはじめて行った。(2011.5.8)
<金山町から銀座通りのタワー街を見る>
所沢のこの街道は、歴史ある宿場町でもともと織物が盛んでそうした立派な商家が連なっていた。
しかし20年ほど前から再開発が始まり、高層マンション街に変わりはじめる。
20年前というと世の中はバブル後期で、そんな再開発が各地で始まっていた。
そういう時代に、街道沿いのファルマン通りという商店街の有志が中心にはじめたまつりで、
今年でもう17回目をむかえている。
<金山町に残る町家>
いくらハードを立派にしても街は活性化しない。
再開発で一時的に経済効果があったとしても、それが10年30年50年100年—という時間で
みたときに街の活動が維持できなければならない。
さあタワーの足元に入っていきましょう。今日はまつり、もちろん露店や出し物で賑わっている。
でもいつもは広いだけで閑散としているのね。
<元町公民館の新しくできた広場>
<秋の祭りには山車がねりあるく>
<エコトコファーマーズマーケットのテント>
容積率400%、100Mタワーを建てるには、公開空地が求められる。
ボーナスをもらうためにはとにかく公開空地、公開空地。公開空地があれば良い。
けれども日本の総合設計制度は街の賑わいまで考慮にいれない。
たとえばゾーニングの本家アメリカでは24時間年中無休で管理開放された
アトリウムを評価対象にしたり、歴史的建造物や街並みを残すために
その分の容積をとなりの場所に付け足す(空中権の交換)なんてこともできたりする。
足元の賑わいを維持するには、総合設計制度ももっといろいろなことができなければおもしろくない。
それと商業地域でマンションだけ建てられるというのは本末転倒である
あえて議論を提起すれば、もともと商業地域ということでボーナスをもらっているのだから、
それまでの町での商業活動を放棄する人たちに褒美をあげるのはいかがなものかと思ったりもする。
ちなみに所沢のこの通りの場合、初期の開発では低層部の商業を充実させていたがだんだん商業部が少なくなり、
ひどいのはメインストリートに面して、どうどうと大きな駐車場棟を構えるビルがあったりする。
初期の再開発計画の、裏の川沿いに遊歩道を設けるというルールも見事に破られている。
(そういう建物をつくる不動産屋やゼネコンも悪いが、そういう案を許可する側も良くない。)
「おい、そうは言っても商業テナントなんてそう簡単には見つからないぜ。」
とつっこまれるかもしれないが、低層商業というのはたんにお店だけを指すのではなく、
ときには、小さな事務所や住宅兼アトリエのようなものまで含めて、
多様なテナントに更新し続けることの可能なビルディングタイプであると考えるのです。
再開発の立派な建物はどうも新しいテナントとくに個人経営のユニークな店が入りにくい。
<まつりで賑わうメインストリートから少し入った横丁のお店>
じっさい皮肉なことにメインストリートではなく、横丁におもしろい店ができていたりする。
とことこタワーまつりを企画したファルマン通りの商店主たちは、自分たちはタワーのオーナーではなく、
小さな店舗でがんばっているという事実は敬意をもって伝えておきたいと思います。
<秋田家井筒屋 2005年有志によるまちづくり活動がスタートした場所、現在は新公民館の前に移転>
井筒屋の前で、ひさしぶりにちんどんやさんをみた。
まさしく最近9.11のテロ後のニューヨークのことを思い出す。
“LET’S GET BACK TO NORMAL” 「こういう時こそ普段どおりに生活しよう」
です。