ダッカ、野生の都市(2)

人海戦術の建設現場

ダッカは建設ブームである。朝から夜中まで、平日も休日も関係なく現場が動いている。ダッカに最初に滞在した夜、どこかでずーっとコンコンと音を立てて何事かと思っていたところ、ホテルの隣で夜中まで現場が動いていたのである。やっと少し静かになって、うとうと眠りにつくと、またドカーンという音で目が覚める。朝は夜明けから、お祈りの放送が始まりまた目が覚める。毎晩この繰り返しであるが、不思議にだんだん慣れて来る。


ダッカでは街じゅうで現場が動く。型枠は鉄板、支保工は竹 2019.10.2 撮影

街を歩けばあちこちで現場が動いている。人がたくさんいるさすがのダッカでもこれだけの現場が一斉に動くと、途中でほったらかしにされているような現場も見られる。リキシャだけではなく、コンクリートの打設も人力である。女性も含め、頭にモルタルや骨材を載せたくましく運ぶ。絵になる。


人力でのコンクリート打設  2019.10.3 撮影

日本ではコンクリートの型枠はコンパネすなわち木製の合板を使用するが、こちらでは何度も再利用可能な鉄板を使う。そして支保工は竹だったりする。この点でバングラディシュの建設の方が日本よりエコと言える。とても原始的な工法だが、打ち放しコンクリートの壁などは結構綺麗に仕上がる。インドのエンジニアによればコンクリートの打設技術は母国より高いと言う。このようなうねった打ち放し壁のファンキーな建物も作ってしまう。


ダッカのコンクリート打ち放し壁  2019.3.9 撮影

基本的に床と柱と梁の構造であり、壁は中の間仕切り壁を含め、ほとんどレンガで施工するので、この点で環境負荷が問題になっている。すなわちあちこちの建築現場で大量のレンガが使われるので、すなわち工場で大量にレンガが焼かれるということになり、バングラディシュの大気汚染の大きな原因の一つ。環境負荷だけでなく、レンガ壁は重たいので、コンクリートブロック(CMU)を提案したが、バングラではほとんど採用されていないので却下された。


街に積み重ねられているレンガ、手前に支保工に使う竹  2019.5.18 撮影

ちなみに自動車は液化天然ガス用で走っているので、ガソリンや軽油の日本より環境負荷は低い。そのほとんどが中古の日本車を改造しているのである。

新野裕之 Hiroyuki Niino

ダッカ、野生の都市(3)

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