Revitデザインオプション, B案もプレゼンしたいとき

A案B案を同時にデザインしたい

設計の現場では、いくつかの案を同時につくり、施主にプレゼンしたり、チーム内でデザインを検討するような必要性が頻繁に生じる。一般的なCADなどでは基本的に、A案B案を別々につくり作業しなければならず手間がかかる。Revitには「デザインオプション」というなかなか便利な機能があるので是非つかいこなしたい。しかし最初は少し扱いづらく、筆者も慣れるまで苦戦した。いったん仕組みが分かれば難しいことは無い。これから具体的なデザインの例を用いて、そのポイントを紹介しよう。<図1>は基になるすっぴんのビルのデザイン。このバルコニーの部分にルーバーを付けてファサードのデザインオプションを検討する。


<図1>ビルのファサードデザインの検討

A案の作成

まずはA案のファサード<図2>。「デザインオプション」の機能は関係なく、モデリングして良い。こうした付加的な要素は、インプレイスかモデルグループとして作成すると整理しやすい。


<図2>A案_ヴァーティカル

これをA案としてデザインオプションの中にセットする。画面右下にデザインオプションのアイコン<図3>があるのでクリックすると、


<図3>デザインオプション

デザインオプションの設定画面が出る<図4>。まずは「オプション セット」を「新規作成」する。デフォルトは「オプション セット1」となるので「名前変更」でセットの名称を与える。ここでは例えば「基準階ファサード」とする。デザインオプションは色々なセットを作ることができるので、名前を付けて整理する。例えば他の箇所もオプションで検討するときは、「低層部ファサード」「妻側立面」などと「オプション セット」を追加していくことができる。


<図4>デザインオプション設定

セットを作ると自動的に「オプション1(一次)」が作られる。一次のオプションがメインモデルとして割り当てられる基本モデルとなる。ルーバーによる垂直性を強調したデザインなので名前は「A案_ヴァーティカル」と名称を変更する。


<図5>オプション1(一次)

カット&貼り付け/同じ位置に位置合わせ

この状態ではまだ「オプション セット」には何も入っていない。A案のコンポーネントを選択し、修正パネルのハサミアイコン「修正/クリップボード/カットしてクリップボードへ」でコンポーネントをカット&コピーし「貼り付け/同じ位置に位置合わせ」で「A案_ヴァーティカル」の中にペーストする。この時、右下のデザインオプションのサイドバーを「メインモデル」メインモデルから「A案_ヴァーティカル」に変更してからペーストすることを忘れずに<図6>。


<図6>A案(一次)のデザインセットの中へのペースト

デザインオプションの中に入ると、オプション以外の要素はグレーアウトして編集することができない。後でも繰り返し説明するが、この点が重要なポイント。いったんオプションの中に要素を入れると、オプションセットの中に入らないと修正ができない。また、通常のメインモデルの表示では、デザインオプションの一次の要素が表示される。デザインオプションの要素も含めすべての要素がグレーアウトせずに表示されているが、デザインオプションの要素(一次)はロックされており編集できない。デザインオプションの中で要素がブロックされていることを忘れると、「選択も編集もできない!」と焦ることになる。

B案の作成

つぎにB案を作成するが、やり方には2つある。

1つめはA案を複製しそれを修正するやり方。デザインオプションの設定画面で、「オプション」の「A案_バーティカル」を選択し「複製」する。同じものが「A案_バーティカルのコピー」として作成される。このコピーを修正する。

2つめは、「オプション」を「新規作成」する。この場合は空の「オプション1」が自動的に作成されるので、B案を「オプション1」の中に入って作成する。ここではオプションの名称は、「B案_ホリゾンタル」とする<図7>。これでデザインオプションの作成は完了である。


<図7>B案_ホリゾンタル

冒頭で説明した通り、仕組みが分かっていないと、この先に混乱することになる。以下に注意すべき重要なポイントを挙げる。

★ オプション1(一次)

最初のA案の接尾文字の「(一次)」とは、メインモデルとして表示されるオプションである。一次以外の要素はメインモデルで表示されない。後で(一次)を二次のB案やC案に変更することもできる。

★ デザインオプションとはブロック化

B案を作成しなくとも、A案のバーティカルルーバーをオプションセットの中にいったん入れると、A案の要素は編集できない。逆にデザインオプションの中に入ると他の要素は修正できない。デザインオプションの中で下図のように平面図ビューの中に入ると、メインモデルの要素、例えば、ここでは壁や窓などのすべての要素がグレーアウトし修正も編集もできなくなっている<図8>。


<図8>デザインオプションの中に入ると、オプション以外の要素はグレーアウトし修正できない。

★ デザインオプションの削除→メインに変更

デザインが進み、案が定まって来ると、要らなくなったオプションは削除することができる。もちろん削除しなくても良いのだが、オプションセットが多過ぎるとデータが重たくなったり、図面や表示の整理つかなくなったりして、混乱を招く(かもしれない)。親の「オプション セット」から削除すると一次以外の子供のB案C案が自動的に削除される。その時に生き残るのは兄/姉の一次の要素なので、誤って残したい弟/妹のデザインオプションを削除しないように。すなわち残したいオプションは一次に格上げさせることを忘れずに。
訂正:ごめんなさい! オプションセットごと「削除」すると、一次(親)、二次(子)に関係無く、オプションセットの中のすべての要素が削除されてしまいます。「削除」ではなく、「メインに変更」でオプションセットの中の一次の要素がオプションから解放されます。「メインに変更」すると二次(子)は自動的に消去されるのは上記の通りです。
220509

★ デザインオプションのビューの設定

先に説明した通り、通常のメインモデルの表示では、一次以外のオプションは表示されていない。この表示を調整するには、メインモデルの「A案_ヴァーティカル(一次)」のパースビューを複製し、ビュー設定(表示/グラフィックスの上書き)のデザインオプションの設定で「B案_ホリゾンタル」を選択する。こうするとB案の要素とそれ以外のメインモデルがグレーアウトせずに表示される。


<図9>デザインオプションのビューの設定(表示/グラフィックスの上書き)

これで明日のプレゼンの準備完了!


<図10>A案B案パース、図面へのレイアウト

★ ファミリーとホストの関係に注意

窓やドアなどホストにネストするファミリーをデザインオプションで整理したい時は、ホストごとデザインオプションの中で作成する必要がある。例えば正方形窓と丸窓をオプションA、Bとする場合は、ホストとなる壁ごとデザインオプションに入れる必要がある。(追記2021.10.27)

Lumionとの同期

Lumionへの書き出しも、{3D}ビューからデザインオプションを切り替え同期(Live Sync)するだけである。すなわち、例えば、A案をLumionへ同期しレンダリングしたあと、{3D}ビューをB案に変更して同期する。A案に戻したいときは、再びRevitの{3D}ビューでA案を同期すれば良い。

2021.10.01

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